CHROとは?人事部長との違い、役割、必要なスキルとキャリアパスを解説

更新日 2026.07.16
公開日 2026.07.16
業界/職種特集 転職前
CHROのイメージ

CHROという役職名を見聞きする機会は増えていますが、「人事部長と何が違うのか」「経営にどこまで関与する立場なのか」「自分のキャリアの延長線上にある役割なのか」が曖昧なままになりやすいテーマでもあります。

人的資本経営への関心が高まるなかで、CHROは単なる人事部門の責任者ではなく、経営戦略と人材戦略を接続する重要なポジションとして注目されています。

本記事では、デロイト トーマツ ヒューマンリソース(DTHR)が、CHROの意味、人事部長などとの違い、主な役割、求められるスキル、目指すうえでのキャリアパスまでを整理して解説します。

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CHROとは?企業の人事戦略を担う最高人事責任者

CHROは、人事部門の上位役職というだけでは捉えきれないポジションです。近年は人的資本経営や事業変革の文脈のなかで、経営と人材をつなぐ役割として注目されています。まずはCHROの基本的な意味と、近しい役職との違いを整理します。

CHROの意味と役割の概要

CHROは、Chief Human Resources Officerの略で、日本語では一般に「最高人事責任者」と訳されます。CxOの一角として、企業全体の人材戦略や組織戦略を統括する立場です。

重要なのは、CHROが人事機能の管理者にとどまらない点です。採用、配置、育成、評価、報酬、組織開発、労務、企業文化の形成といった人事領域を束ねながら、それらを経営戦略とどう結びつけるかが問われます。新規事業の立ち上げや事業再編、グローバル展開、M&Aのような局面では、必要な人材像や組織のあり方が変わります。CHROは、その変化を見越して人と組織を設計する役割を担います。

CHROが注目される背景

CHROが重視される背景には、事業成長の鍵が「戦略を描くこと」だけでなく、「その戦略を実行できる組織をつくること」に移ってきたことがあります。人材不足、働き方の多様化、専門人材の獲得競争、事業変革の加速といった環境変化のなかで、人事課題はもはや管理部門だけの論点ではありません。

さらに、人的資本経営の広がりにより、人材をコストではなく企業価値の源泉として捉える考え方が浸透してきました。採用や育成だけでなく、後継者計画、リーダー開発、エンゲージメント、ダイバーシティ、カルチャー形成まで含めて、経営レベルで意思決定する必要が高まっています。こうした文脈で、CHROは経営の一員としての存在感を強めています。

CHO・人事部長・HRBPとの違い

CHROを理解するうえでは、近しい役職との違いを整理しておくことが重要です。

表1)CHROと類似ポジションの比較表
役職主な位置づけ主な役割
CHRO経営陣の一員全社の人材戦略・組織戦略を統括し、経営と接続する
CHO企業によりCHROと近い意味で用いられる人に関する経営課題を広く統括する
人事部長人事部門の責任者人事部の運営、制度運用、部門マネジメントを担う
HRBP事業部門に伴走する人事機能特定部門の人事課題を現場に近い立場で支援する

CHO(Chief Human Officer)は企業によってはCHROとほぼ同義で使われますが、「Human」をより広く捉え、従業員体験や組織文化まで含めて表現する場合もあります。実際には、どの名称を使うかは企業の思想や制度設計に左右されることが少なくありません。

人事部長との違いは、経営への参画度合いにあります。人事部長は人事部門の責任者として、制度運用や部門管理を中心に担うことがあります。

一方でCHROは、経営陣の一員として全社最適の観点から人と組織のあり方を設計する立場です。もちろん企業によっては人事部長が実質的にCHROに近い役割を果たしている場合もありますが、一般には経営戦略との接続の深さが大きな違いです。

HRBP(Human Resource Business Partner)は 、特定の事業部門や現場に伴走しながら人事課題の解決を支援する役割です。採用、配置、育成、組織運営の相談相手として、事業責任者に近い距離で機能します。

これに対してCHROは、個別部門ではなく全社視点で人材戦略と組織戦略を統括します。HRBPが事業に寄り添う人事だとすれば、CHROは経営と組織をつなぐ人事責任者といえます。

他CxOポジションについては、以下の記事でも解説しております。

HRBPについては、以下の記事でも解説しております。

CHROの主な役割とは

CHROの仕事は、人事施策を並べることではありません。経営課題を踏まえながら、人と組織の設計を通じて事業の実行力を高めることに本質があります。ここでは主な役割を3つに整理します。

経営戦略と連動した人材戦略の策定

CHROの中核的な役割は、経営戦略を実現するための人材戦略を描き、実行に落とし込むことです。たとえば成長領域への投資を進めるなら、必要な人材の採用計画や幹部候補の育成、既存人材の再配置まで一体で設計しなければなりません。単に人員を補充するのではなく、事業計画と連動した人材ポートフォリオを構想する視点が求められます。

組織開発・人材開発・評価制度の設計

CHROは、個人の能力発揮と組織全体の成果をどうつなげるかを設計する責任も担います。評価制度や報酬制度に加え、リーダー育成、後継者計画、配置転換、エンゲージメント向上施策まで含めて、組織能力を高める仕組みを整える必要があります。制度は導入して終わりではなく、事業環境や組織フェーズの変化に応じて見直し続けることが前提です。

労務・ガバナンス・カルチャー形成の統括

CHROには、攻めだけでなく守りの責任もあります。労務リスクへの対応、コンプライアンス、ハラスメント防止、ガバナンスの整備は、持続的な経営の前提となる領域です。同時に、企業理念や行動規範が現場で実践されているか、望ましい企業文化として機能しているかを見ていくことも重要です。攻めの人材戦略と守りの統制を両立させることが、CHROの難しさであり価値でもあります。

CHROに求められるスキル・資質

CHROは人事の専門家であるだけでなく、経営人材としての力量も問われます。実務知識だけでは足りず、組織を動かすための総合的な力が必要です。

人事領域の専門性と制度設計力

CHROには、採用、育成、評価、報酬、労務、組織開発など、人事全般に関する基礎的かつ実践的な知見が求められます。特定領域に強いだけではなく、複数の人事機能を横断して設計できることが重要です。特に上位ポジションでは、既存制度を適切に運用するだけでなく、事業や組織の課題に応じて制度そのものを再構築できる力が問われます。

経営視点・事業理解・意思決定力

CHROが人事部長と大きく異なるのは、判断基準が部門最適ではなく全社最適に置かれる点です。人事施策が事業成長、収益性、組織能力、リスク管理にどう影響するかを理解し、経営陣と同じ言語で議論できる必要があります。事業モデルや財務構造、競争環境への理解が浅いと、経営人材としてのCHROにはなりにくいでしょう。

組織を動かすリーダーシップと対話力

CHROは制度だけで組織を変える仕事ではありません。経営陣、事業責任者、現場マネージャー、従業員の間に立ち、ときに利害の異なる相手と対話しながら合意形成を進めていく必要があります。そのため、相手の本音や懸念を引き出すコミュニケーション力に加え、反対や不確実性がある状況でも意思決定を前に進めるリーダーシップが求められます。

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CHROが重要視される理由

CHROの業務イメージ

なぜ今、CHROという役割がこれほど注目されているのでしょうか。背景には、人と組織に関する意思決定が、企業価値や成長戦略とより強く結びつくようになったことがあります。

人的資本経営と経営課題の複雑化

人的資本に関する情報開示や投資家の視線の変化を受け、企業には人材戦略を経営計画と整合的に説明することが求められています。採用計画や研修施策の羅列ではなく、事業戦略と人材戦略がどう結びついているのかを示す必要があり、その中核を担うのがCHROです。人事部門の管理者ではなく、経営の実行責任を担う立場として位置づけられる理由はここにあります。

事業変革に合わせた組織づくりの必要性

新規事業、DX、海外展開、M&Aなど、企業の変革局面では組織のつくり方が成否を分けます。既存制度の延長では対応しにくい場面も多く、必要なのは変化に耐えうる組織設計です。CHROは、事業の変化に先回りして人材要件や組織構造を見直し、成長に必要な組織能力を築く役割を担います。

経営陣の一員として人と組織をリードする役割

人事課題の多くは、現場のオペレーションではなく経営判断と直結しています。どの人材に投資するか、次の経営幹部候補をどう育てるか、組織文化をどう変えるかといった論点は、企業の将来を左右します。CHROが重要視されるのは、人と組織に関する意思決定が企業価値に直結する時代になっているからです。

CHROを目指すためのキャリアパス

CHROは、必ずしも単一のルートでしか到達できない役職ではありません。ただし共通しているのは、人事の専門性と経営視点の両方を高い水準で備える必要があることです。

事業会社の人事で経験を積むルート

もっとも一般的なのは、事業会社の人事部門で採用、育成、評価、労務、組織開発などの経験を積み、人事責任者へと進むルートです。この場合、幅広い人事機能を理解していることに加え、制度運用だけでなく、事業部や経営陣と連携しながら人事課題を解いてきた経験が重要になります。人事の専門家としての基盤を築きやすいルートといえます。

HRBP・人事責任者・部門横断経験を経るルート

CHRO候補として評価されやすいのは、全社視点を獲得している人です。その意味では、HRBPとして事業に深く入り込んだ経験や、複数部門を横断して人事課題を扱った経験は有効です。人事の専門知識に加え、事業部門のKPIや現場課題を理解しながら施策を設計してきた人は、CHROに必要な視座に近づきやすいでしょう。

事業経験やコンサル経験を生かして近づくルート

CHROは必ずしも人事一筋のキャリアからしか生まれないわけではありません。事業責任者として組織を率いた経験や、人事・組織領域のコンサルティング経験を生かしてCHROに就くケースもあります。

特に、事業成長のボトルネックが人と組織にあることを理解し、そこに実務的に向き合ってきた人は強みを発揮しやすいでしょう。ただし、人事実務への理解が不足していると限界もあるため、どこかで人事機能に深く関与する経験は必要になります。

CHRO候補として市場価値が高まりやすい人の特徴

CHROを目指すうえでは、肩書の有無以上に、どのような経験と視点を持っているかが重要です。市場で評価されやすい人には、いくつかの共通点があります。

全社最適で人事課題を捉えられる

評価されやすいのは、採用や制度など個別テーマの専門家にとどまらず、それらを経営課題として束ねて考えられる人です。「人事として何を改善するか」ではなく、「事業成長のために人と組織をどう設計するか」を語れるかが一つの分岐点になります。視座が部門単位にとどまるか、経営単位に広がっているかで、評価は大きく変わります。

組織フェーズに応じた課題解決経験がある

同じCHROでも、スタートアップの0→1、成長企業の1→10、大企業の10→100では求められる役割が異なります。制度未整備の環境で基盤を築いた経験、急成長に伴う組織拡大を支えた経験、成熟企業で変革を推進した経験など、どのフェーズで価値を出してきたかは重要な評価ポイントです。自分の強みがどのフェーズで最も生きるかを理解している人は、市場でも見立てやすい存在です。

人事の専門性に加えて事業側の視点を持つ

CHRO候補として一段高く評価されやすいのは、人事施策の巧拙だけでなく、事業責任者と対等に話せる人です。現場がどのように利益を生み、どこに組織上の摩擦があり、何がボトルネックになるのかを理解していると、提案の質が変わります。人事の言葉だけでなく事業の言葉で語れることが、市場価値の差につながります。

CHROを目指すうえで押さえたいポイント

CHROという役職名だけを追うと、実際の期待役割とのずれが生じることがあります。キャリアを考える際には、ポジションの中身を見極める視点が欠かせません。

目指す企業の組織フェーズを見極める

CHROという肩書だけで役割を判断するのは危険です。ベンチャーでは採用責任者に近い期待が置かれることもあれば、大企業では経営陣の一員としてタレントマネジメントやガバナンスを重く担うこともあります。自分がどのフェーズで強みを発揮しやすいのかを見極めることが重要です。

役職名ではなく期待役割を確認する

求人や役職の名称が同じでも、実際に求められることは企業ごとに異なります。CEOの右腕として組織変革を推進する役割なのか、制度再構築が主題なのか、採用強化が優先なのかで、必要な経験は変わります。CHROを目指すなら、名称の華やかさよりも、どの経営課題を担うポジションなのかを見るべきです。

自身の強みと不足経験を言語化する

CHROを目指す過程では、自分が強みを持つ領域と、まだ足りない経験を客観的に捉えることが欠かせません。たとえば、採用や制度に強い一方で事業理解が浅いのか、HRBP経験はあるが全社制度設計が不足しているのかによって、次に積むべき経験は変わります。市場価値を高める第一歩は、自身の現在地を正確に把握することです。

まとめ

CHROは、企業の人材戦略と組織戦略を統括する最高人事責任者であり、単なる人事部門のトップではなく、経営と組織をつなぐ役割を担います。人事部長やHRBPと重なる部分はあるものの、CHROに求められるのは、全社最適の視点で人と組織を設計し、経営戦略の実行を支えることです。

CHROを目指すうえでは、人事領域の専門性だけでなく、事業理解、経営視点、組織フェーズに応じた課題解決力が重要になります。肩書としてのCHROを追うのではなく、どのような経営課題を担う人材になりたいのかを明確にすることが、結果としてキャリアの解像度を高めるはずです。

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人事については、以下の記事でも解説しております。

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