採用競争の激化や人的資本経営への注目を背景に、人事部門には従来のオペレーションだけでなく、経営戦略と連動して組織課題を解決する役割が求められるようになっています。こうした流れを受け、人事経験者を対象とした転職市場も活発化しています。
本記事では、転職市場の最新動向や、キャリアパスの選択肢、転職で高く評価されるスキルや経験、年代別のポイント、さらに転職で失敗しないための注意点までをわかりやすく解説します。 人事として次のキャリアを真剣に考えたい方に向けて、実践的なヒントと成功のコツをお届けします。
デロイト トーマツ ヒューマンリソース
人事の転職市場の現状と今後の動向
経営に直結する戦略人事の需要が高まっている
現在の人事の転職市場では、戦略人事と呼ばれるポジションへの注目が高まっています。単なるオペレーション業務にとどまらず、経営戦略と連動して採用・育成・組織最適化を推進できる人事が求められています。とくに、経営層とともに課題を整理し、施策の実行まで担える人材は評価されやすい傾向があります。
管理部門の上位ポジションは非公開求人で進行しやすい
人事部長やCHROなど、管理部門の上位ポジションの採用は、経営戦略や組織課題に直結する重要な情報が含まれるため、一般には公開せず非公開求人として進められるケースが多く見られます。こうした背景から、通常の転職サイトだけでは希望に合う上位職の求人情報に出会いにくい場合があります。
人事経験者の年収相場と市場価値
人事の年収は、企業規模や業界、担当領域、役職によって大きく異なります。たとえば、採用や労務などの担当者クラスでは400万〜600万円前後が一つの目安になるケースがあります。一方で、人事制度設計やマネジメントを担うポジションでは700万円以上、HRBPやCHROなど経営に近い役割では1,000万円を超えるオファーが出ることもあります。
ただし、実際の年収レンジには幅があるため、個別の求人内容を確認することが重要です。
人事経験を活かせる主な転職先・キャリアパス
人事として培った経験や知識は、さまざまな転職先やキャリアパスで活かすことができます。ここでは、代表的なキャリアの選択肢をご紹介します。
事業会社での人事責任者(CHRO・人事部長候補)
事業会社で人事責任者(CHRO・人事部長候補)として活躍することは、人事経験を最も幅広く活かせるキャリアパスの一つです。採用、労務、制度設計、育成など人事業務全体を統括し、経営陣と連携しながら組織全体のパフォーマンス向上を目指します。
CHROについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しております。
経営陣と現場をつなぐHRBP(HRビジネスパートナー)
特定の事業部門に深く関わり、事業責任者と連携しながら「人と組織」の観点で事業成長を支援するポジションです。事業への理解力と人事の専門性の両方が求められ、近年はメガベンチャーや外資系企業、大手企業を中心にHRBPを導入する企業が増えています。
HRBPについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しております。
知見を活かして組織課題を解決する人事コンサルタント
自社の枠を越えて、外部の専門家としてさまざまな企業の組織課題に取り組むのが人事コンサルタントです。人事制度設計や人材開発、チェンジマネジメントなど、プロジェクトごとに高度なソリューションを提供します。
組織人事コンサルタントについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しております。
人事視点が求められる経営企画・事業企画部門
人事と経営は密接に関係しているため、人事制度の企画・運用経験や、全社的なプロジェクト推進の経験は、経営企画や事業企画のポジションでも高く評価されます。人的資本経営が重視される現在、組織や人材に対する理解を持つ企画人材は、企業から評価されやすい傾向があります。
人事のキャリアプランについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しております。
人事の転職で高く評価される経験・スキル
人事職として転職を目指す際、企業から特に高く評価される経験やスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、実際の転職市場で重視されているポイントを具体的にご紹介します。
経営戦略と連動した人事制度の企画・設計・運用経験
既存の制度を運用するだけでなく、なぜその制度が必要かを経営戦略から逆算して企画・設計し、導入から現場への定着まで一連のプロセスを経験していることは、非常に高く評価されます。
組織改編やM&Aに伴うチェンジマネジメント(組織変革)の実績
企業買収(M&A)後の組織統合(PMI)や大規模な組織改編において、従業員のモチベーションを維持しながら新しいカルチャーや制度を浸透させたチェンジマネジメントの経験は、変革期にある企業から非常に高く評価されるスキルです。
経営層や各部門長を巻き込む高度なコミュニケーション能力
人事が起案する施策は、現場から反発を受けることも多くあります。経営トップの意図を汲み取りながら、各事業部長や現場のリーダーと粘り強く対話し、利害を調整して組織全体を同じ方向へ導く高度なコミュニケーション力や折衝力が不可欠です。
採用・労務・育成など人事業務全般を牽引したマネジメント経験
採用や労務、育成などの専門領域にとどまらず、人事業務全般を把握し、人事部門のメンバーをマネジメントした経験は、将来の人事責任者候補として企業から高く評価されます。
【年代別】人事の転職事情と求められる役割
人事職の転職市場では、年代ごとに求められる役割や期待されるスキルが大きく異なります。ここでは、30代、40代・50代それぞれの転職事情と、各年代で重視されるポイントについて解説します。
30代の転職|実務のスペシャリストからマネジメントへの移行
30代の人事転職では、これまで培ってきた採用や労務、研修などの実務経験に加え、後輩の指導やチームのマネジメント経験が重視されるようになります。プレイングマネージャーとして、自らも現場で手を動かしながら、チーム全体の成果を最大化できるかどうかが重要なポイントです。
40代・50代の転職|経営視点と組織全体を牽引する強いリーダーシップ
40代・50代の転職では、部門責任者やCHROとしての役割が期待されます。実務スキル以上に、経営課題を俯瞰して捉える視野の広さや、経営陣と対等にディスカッションできる能力、そして組織全体に変革をもたらす強いリーダーシップが求められます。
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人事の転職でよくある失敗・後悔と注意点

人事職として転職を考える際には、事前に期待していた役割や環境と、実際の職場との間にギャップが生じることがあります。ここでは、経験者の転職でよくある失敗や後悔の事例と、それを防ぐために注意すべきポイントについて解説します。
経営陣の人事に対する本気度を見誤ってしまう
「戦略人事として裁量を持って取り組める」と聞いて入社したものの、経営トップが人事や組織作りに無関心なために、戦略人事として活躍の場が限られてしまうケースもあります。 面接の場では、経営陣が人材や組織にどの程度本気で向き合っているか、どのような課題意識を持っているかまで確認することが大切です。
求人票だけでは分からない入社後の裁量のミスマッチ
求人票に「人事制度の企画」と記載されていても、実際には既存制度の微修正にとどまるなど、期待していた裁量と実態が異なるケースは少なくありません。入社後にどこまでの決定権が与えられるのか、面接時に具体的に確認することが重要です。
自身の志向性と企業のカルチャー(社風)が合わない
人事は、企業カルチャーの浸透や制度面からの支援を担う立場です。トップダウンかボトムアップか、保守的か革新的かなど、自身の価値観と企業のカルチャーが根本から合っていないと、施策の推進はとても難しくなります。
人事の転職を成功させるためのポイント
人事職の転職を成功させるためには、事前の準備や情報収集が欠かせません。ここでは、転職活動を進める際に押さえておきたい重要なポイントについて解説します。
キャリアの棚卸しと転職軸の明確化
まずはこれまでの経験を丁寧に棚卸しし、自分の強みを言語化しましょう。そのうえで、次の環境でどんな課題に取り組みたいのか、どのような裁量やポジションを目指したいのかといった軸をはっきりさせることで、一貫性のある転職活動を進めやすくなります。
人事としての市場価値を客観的に把握する
自分の経験やスキルが、転職市場でどの程度評価されるのかを把握することも重要です。転職エージェントとの面談や、同職種・同業界の求人情報をリサーチすることで、自分の強みや不足しているスキルを客観的に見直しましょう。市場価値を知ることで、希望条件の整理やキャリアアップの方向性がより明確になります。
企業の内情や経営層の意図を深く知るプロに相談する
人事の中途採用では、非公開求人が多く、求人票だけでは見えにくい情報も少なくありません。企業の経営層と直接やり取りし、組織のリアルな課題やカルチャーを把握している転職エージェントに相談することで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
まとめ
人事の転職を成功させるためには、求人票に記載された仕事内容だけでなく、企業が抱える組織課題や、経営陣が人事に期待している役割まで深く理解することが重要です。とくに、HRBPや人事責任者、CHRO候補といった経営に近いポジションでは、非公開で採用が進むケースも少なくありません。
デロイト トーマツ ヒューマンリソース(DTHR)では、経営層や人事責任者と直接つながりを持ち、人事責任者候補や経営直結ポジションを含む非公開求人のご紹介を行っています。次のキャリアをより戦略的に考えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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