管理職の採用を成功させるには?外部採用が難しい理由や最適な手法を解説

更新日 2026.06.26
公開日 2026.06.26
企業向け
管理職採用に悩む人事採用マネージャー

ビジネス環境が激変する現代において、企業の成長を牽引する「管理職・マネジメント層」の採用は、経営上の最重要課題の一つとなっています。しかし、多くの企業様から「要件に合う優秀な人材に出会えない」「採用しても社風に合わず早期離職してしまった」といった切実なご相談が後を絶ちません。

私たちデロイト トーマツ ヒューマンリソース(DTHR)は、ハイクラス領域に特化した人材紹介やエグゼクティブサーチを通じ、日々数多くの企業の採用支援を行っています。その中で見えてきたのは、管理職採用が失敗する背景には「特有の落とし穴」が存在し、成功に導くためには「経営戦略と連動したアプローチ」が不可欠であるという事実です。

本コラムでは、ハイクラス採用の最前線で企業と候補者を結びつけてきた私たちの知見をもとに、なぜ今「外部採用」が必要とされているのか、採用が難航する根本的な理由、そして候補者の心理や成功するための具体的なポイントまでを徹底解説します。次世代のリーダー獲得に悩む経営層や人事担当者様の課題解決のヒントになれば幸いです。

なぜ今、管理職の「外部採用」が求められているのか?

近年、多くの企業で管理職やマネジメント層を外部から採用しようとする動きが活発化しています。これまでは「生え抜き」の社員を昇進・育成していくのが一般的な日本企業のあり方でしたが、なぜ今、外部からの採用が重要視されているのでしょうか。その背景には、大きく分けて3つの理由が存在します。

1. 内部育成(生え抜き)だけでは追いつかない事業スピード

一つ目の理由は、事業スピードの加速です。現代のビジネス環境は変化が極めて速く、新規事業の立ち上げやグローバル展開など、迅速な意思決定と実行が求められます。しかし、これらの新しいミッションを牽引できるリーダーを社内でゼロから育成するには、多大な時間とコストがかかります。

事業スピードに社内の人材育成が追いつかないという現状が、即戦力となる管理職の外部採用を後押ししています。

2. AIの普及をはじめとする急速な技術革新への対応

二つ目の理由は、AI(人工知能)の普及に代表される急速な技術革新です。あらゆる業界でDXやAIの業務実装が急務となる中、最新テクノロジーの知見を持ち、それらを経営や事業戦略に落とし込めるマネジメント人材は社内に不足しがちです。

未経験の領域を推進するためには、すでに他社で実績を持つ専門性の高いリーダーを外部から招き入れる必要性が高まっています。

3. 自社にはない「新しい知見とマネジメント力」の獲得

三つ目の理由は、組織の活性化です。長年同じ組織で育った社員だけで管理職を固めると、同質性が高くなり、イノベーションが生まれにくくなる恐れがあります。外部から管理職を採用することは、異なる業界のビジネスモデルや新しいマネジメント手法を取り入れることを意味します。

組織に「外部の血」を入れることで、既存社員への良い刺激となり、組織全体の変革を促す大きなメリットがあります。

管理職・マネジメント層の採用がうまくいかない(難しい)理由

このように外部採用の重要性が高まる一方で、「なかなか良い人材を採用できない」「採用しても定着しない」と悩む企業は少なくありません。それでは、なぜ管理職の採用はそれほど難しいのでしょうか。特有の課題として、主に以下の3点が挙げられます。

1. 優秀な層は転職市場に顕在化しにくい

第一の課題は、ターゲットとなる優秀な管理職層は、現在の会社でも高く評価され重要なポストに就いているため、転職市場になかなか現れない点です。自ら積極的に求人サイトに登録して転職活動を行うことは稀であり、一般的な求人媒体で「待つ」だけの採用手法では、自社が求めるレベルの人材からの応募を集めることは極めて困難です。

2. スキルは高くても「自社のカルチャー」に合わない

第二の課題は、カルチャーフィットの欠如によるミスマッチです。面接での印象や実績がいくら素晴らしくても、自社の企業文化やコミュニケーションスタイルと合わなければ、入社後に現場との間にコンフリクト(衝突)が生じます。前職のやり方を強引に押し付けて現場の反発を招くなど、結果として早期離職につながってしまうケースは後を絶ちません。

3. 採用基準・ポジションの要件定義が曖昧

第三の課題は、採用基準のブレです。経営層が「とにかく優秀なリーダーを採用してくれ」と抽象的なオーダーを出し、現場が具体的な要件に落とし込めないまま採用活動をスタートしてしまうケースが多く見受けられます。経営戦略とリンクした具体的な要件定義ができていないと、選考基準が曖昧になり、採用のミスマッチを引き起こす最大の要因となります。

管理職候補が転職を決意するきっかけとは?(候補者心理の理解)

採用が難しい現状を踏まえた上で、次に考えるべきは「候補者の心理」です。優秀な管理職を自社に惹きつけるためには、彼らがどのようなタイミングで転職を考えるのかを理解することが重要です。主なきっかけとして以下の3つがあります。

1. 正当な評価や裁量権を求めている

一つ目のきっかけは、現状の評価や裁量への不満です。高い実力を持ちながらも、「年功序列の壁に阻まれ昇進できない」「自分のアイデアを実行に移す裁量権が与えられない」といった不満を抱えている管理職は多くいます。彼らは、自分の実力を正当に評価し、より大きな裁量を与えてくれる環境を求めています。

2. 会社の将来性への不安や、新たなチャレンジへの意欲

二つ目は、将来への不安やポジティブな挑戦意欲です。所属組織の業績悪化など将来性に対する不安から転職を考えるケースはもちろんのこと、「これまでの経験を活かして、全く新しい業界でゼロからチャレンジしたい」といった、キャリアアップや自己実現に向けたポジティブな意欲が原動力となることも少なくありません。

3. 外部からの魅力的なスカウト・アプローチ

三つ目は、外部からの直接的なアプローチです。優秀な人材は転職潜在層であることが多いため、ヘッドハンターや経営層からの直接のスカウトが転職を考える直接的なきっかけになります。「名指しで必要としてくれる」という熱意あるアプローチを受けることで自身の市場価値に気づき、他社での可能性に目を向けるようになります。

管理職採用を成功させるための4つのポイント

管理職採用を成功させるポイントを検討する人事採用マネージャー

ここまで、管理職採用の難しさや候補者の心理を見てきました。では、これらを乗り越え、難易度の高い管理職採用を成功に導くためには具体的にどうすればよいのでしょうか。押さえておくべき4つのポイントを解説します。

1. 経営戦略と連動した「解像度の高い」要件定義

一つ目のポイントは、解像度の高い要件定義です。採用活動の第一歩として、「自社が達成すべき目標は何か」「それを阻む課題は何か」「課題を突破するためにどんな経験や思考特性が必要か」を経営層・現場・人事で徹底的にすり合わせます。単なるスキルセットではなく、経営課題を解決するための人物像を明確に描くことが採用成功の根幹となります。

2. 社風・カルチャーフィットを見極める選考プロセスの構築

二つ目のポイントは、カルチャーフィットの見極めです。スキルだけでなく、自社の価値観に共感し体現できる人物かを確認する選考プロセスを設計します。現場メンバーとのカジュアル面談、適性検査、リファレンスチェックなどを活用し、多角的な視点から自社の社風に合うかを確認することが不可欠です。

3. 候補者への魅力付け(アトラクト)と本音のヒアリング

三つ目のポイントは、アトラクトとヒアリングです。自社の魅力(ビジョン、成長性、裁量など)を候補者の志向に合わせて伝える動機付けが重要です。同時に、面接の場で候補者が抱える不安や「譲れない条件」を丁寧にヒアリングし、内定提示前に不安を払拭するプロセスを踏むことが内定承諾率を高めます。

4. 入社後のオンボーディング体制の整備

四つ目のポイントは、入社後のサポートです。外部から来た管理職が早期にパフォーマンスを発揮できるよう、オンボーディング(定着支援)体制を整えることが重要です。経営層との定期的な1on1やキーパーソンとのネットワーク構築支援などを計画的に行うことで、早期離職を防ぎ、入社後の活躍を確実なものにします。

管理職の主な採用手法4選とそれぞれのメリット・デメリット

成功のポイントを理解したところで、実際にどのような手段でアプローチすべきかを見ていきましょう。管理職を採用するための手法には主に4つの種類があります。自社の状況に合わせて適切な手法を選択することが重要です。

1. 人材紹介(転職エージェント)

プロのコンサルタントが要件に合う人材をスクリーニングして紹介してくれる手法です。企業側の工数を削減でき、非公開求人として極秘裏に進められるメリットがあります。管理職採用ではハイクラス領域に強いエージェントを選ぶことが鍵となります。

例えば、本記事を執筆・監修しているDTHRもハイクラス領域専門のエージェントですが、デロイト トーマツ グループの知見を活かし、経営・事業の文脈に基づく精緻な要件設計から入り込むことで、採用後の高い定着率を実現しています。

このように、単なる紹介にとどまらない専門性を持つパートナー選びが重要です。一方で、採用決定時に年収の一定割合の手数料が発生する点はデメリットとして考慮する必要があります。

2. ヘッドハンティング(エグゼクティブサーチ)

転職市場に現れない潜在層のCxOや経営幹部に対し、独自ネットワークでピンポイントにアプローチする手法です。圧倒的に優秀な人材を獲得できる可能性が高い反面、候補者の発掘から口説き落とすまでに数ヶ月以上の期間を要し、着手金が必要になるなど費用も高額になりやすい傾向があります。

また、欧米ではエグゼクティブサーチと呼ばれるように、どちらかというと管理職でも上位職である部長、事業部長以上のポジションに適した採用手法でもあります。DTHRでは、CxO、エグゼクティブ人材を対象としたエグゼクティブサーチも提供しています。

3. ダイレクトリクルーティング

人事担当者が自ら候補者を検索し、直接スカウトメールを送る手法です。採用コストを抑えられ、経営層自らが熱意を伝えることで候補者の心を動かしやすい点がメリットです。しかし、ターゲットの選定や心を動かす文面の作成、面接調整など、運用にかかる工数が非常に大きくなることが課題です。

4. 求人媒体

ハイクラス向けの転職サイトなどに求人を掲載し、応募を待つ手法です。広く募集をかけることができ、採用コストも比較的予測しやすいメリットがあります。一方で、求めるマネジメント層からの応募が少なく、要件に合わない多数の応募者のスクリーニングに手間がかかる傾向があります。

管理職採用における留意点(注意すべきリスク)

採用が決定し、いざ入社となった後にも気をつけなければならない留意点が存在します。せっかく優秀な人材を採用しても、以下の点を見落とすと機能不全に陥るリスクがあるので、最後に確認しいていきましょう。

・過度な「即成果」の要求は避ける
外部から採用した管理職に対し、入社直後から焦って大きな成果を求めすぎると、組織の文脈を理解する前に強引な改革を進めてしまい、現場からの反発を招く恐れがあります。まずは社内理解と信頼関係の構築に時間を与えることが重要です。

・既存社員との軋轢・ハレーションへの配慮
既存社員との軋轢やハレーション 中途入社の管理職と、長年生え抜きで働いてきた既存社員との間で、仕事の進め方や価値観の違いから軋轢が生じることがあります。経営層が間に入り、双方が歩み寄れるようコミュニケーションを促し、組織としてのベクトルを合わせるサポートが不可欠です。

上記は管理職採用後に留意したい代表例でした。せっかく採用した即戦力人事材です、継続的に活躍できるように配慮いたいものです。

まとめ:経営課題の解決に直結する管理職採用を実現するために

管理職の採用は、単なる人員補充ではなく、企業の経営を次の成長段階へと押し上げる極めて重要なプロジェクトです。激変する環境やAIなどの技術革新が進む中、外部からの新しい知見とマネジメント力は組織に革新をもたらします。そのためには、経営課題から逆算した精緻な要件定義、カルチャーフィットの見極め、候補者への魅力付けを妥協なく実行することが求められます。

要件を満たす真に優秀な人材に出会えない、あるいは採用活動の工数や定着に不安を抱えている場合は、専門的な知見を持つ外部パートナーの活用も有効な選択肢となります。自社の状況に最適な採用戦略を構築し、経営を牽引する次世代のリーダーを獲得しましょう。

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