経営企画とは?仕事内容・求められるスキル・キャリアパスをコンサルタントが解説

更新日 2026.06.29
公開日 2026.06.29
業界/職種特集 転職前 転職検討
経営企画のイメージ

経営企画は、同じ職種名でも企業によって役割が大きく異なる仕事です。中期経営計画の策定を主導する企業もあれば、予実管理や会議体運営を通じて経営の意思決定を支える企業もあり、実態を一言で括るのは容易ではありません。だからこそ、表面的な職種説明だけでなく、経営企画がどのように企業価値の向上に関わるのかまで理解することが重要です。

本記事では、経営企画の転職支援を得意とするデロイト トーマツ ヒューマンリソース(DTHR)が、経営企画の仕事内容、求められるスキル、市場価値、キャリアパスまでを整理して解説します。経営企画として専門性を深めたい方はもちろん、コンサルティングファームから 事業会社へのキャリア展開を考えている方にも、判断材料として役立つ内容です。

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経営企画とは何か  

経営企画は、企業全体を俯瞰しながら、経営の意思決定と事業運営を支える役割を担う職種です。ただし、その実態は企業規模やフェーズ、経営課題によって大きく異なります。ここではまず、経営企画という職種の本質と、隣接職種との違いを整理します。

経営企画の役割は「経営の意思決定」と「実行」をつなぐこと 

経営企画は、経営陣が描く方向性を、実際に組織が動ける戦略や計画に落とし込む役割を担います。単に経営層の補佐をするだけではなく、事業環境や社内の数値を分析し、論点を整理し、どの選択肢が合理的かを示すことで、意思決定の質を高めることが期待されます。

経営企画の役割を端的に整理すると、主に次の3点です。

  • 経営判断に必要な情報を整理する
  • 戦略を予算・KPI・計画へ落とし込む
  • 各部門を横断して実行を前に進める

もう一つ重要なのは、経営企画が「考えるだけの部署」ではないという点です。戦略をつくること自体よりも、それを予算、KPI、会議体、各部門の実行計画へと接続し、全社で前進させることに価値があります。経営と現場の間に立ち、全体最適の観点から意思決定と実行をつなぐことが、経営企画の本質だといえます。

事業企画・経営管理・社長室との違い 

経営企画は隣接する職種と混同されやすい一方で、見ている対象と責任の置き方に違いがあります。概観すると、次のように整理できます。 

観点経営企画事業企画経営管理社長室
主な対象全社、複数事業、経営アジェンダ特定事業、特定機能数値管理、統制、運営経営トップの補佐案件
主な役割意思決定支援、戦略立案、実行推進事業成長、事業KPI改善予算管理、レポーティング、管理基盤整備特命事項対応、調整、秘書的機能を含む場合もある
視座全社最適事業最適管理・統制最適トップアジェンダ中心
現場との関わり横断的事業部に近い管理部門寄り経営トップに近い

実務では境界が重なることも少なくありません。たとえば、成長企業では経営企画が事業企画機能まで担うことがありますし、成熟企業では経営企画と経営管理が明確に分かれているケースもあります。職種名だけで判断するのではなく、どのレベルの論点に関与するのか、どこまで意思決定に近いのかを見極めることが重要です。

企業規模やフェーズによって求められる役割は変わる

経営企画の役割は、企業の規模やフェーズによっても変わります。上場大手企業では中期経営計画、資本政策、グループ会社管理、IR関連の論点まで含むことがあります。

一方、スタートアップやベンチャー企業では、予算管理、事業計画の策定、重要会議の運営など、より実務に近いテーマを少人数で横断的に担うことが多くなります。

また、PEファンド投資先や再成長局面の企業では、経営企画に対して事業戦略の実行管理やKPI改善の推進まで求められることもあります。つまり、経営企画は固定化された職種ではなく、企業が抱える経営課題に応じて期待役割が変わるポジションです。

経営企画の主な仕事内容

経営企画の仕事は、単に「経営戦略を考えること」に限られません。経営層の判断材料を整え、方針を数値や計画に落とし込み、さらに部門横断で実行を支えることまで含めて機能する職種です。ここでは、代表的な仕事内容を3つに分けて整理します。

経営層の意思決定を支える分析と論点整理 

経営企画の中核業務の一つが、経営層の意思決定支援です。新規投資、既存事業の拡大、コスト構造の見直し、不採算事業の整理など、経営判断が必要な局面では、感覚ではなく論拠に基づいた議論が求められます。

経営企画は、社内外のデータを収集し、数値や事実関係を整理し、経営が判断しやすい形へ落とし込む役割を担います。

重要なのは、情報を集めること自体ではなく、論点を構造化することです。たとえば売上が伸びていない場合でも、原因は市場縮小なのか、商品競争力の低下なのか、営業体制の問題なのかで打ち手は変わります。経営企画には、事象を分解し、経営が本当に向き合うべき問いを明確にする力が求められます。

事業戦略・全社戦略の立案と実行支援

経営企画は、中期経営計画や年度方針といった全社戦略に関与するだけでなく、個別の事業戦略に踏み込むこともあります。市場や競合の動向、自社の強みと制約、投資余力などを踏まえながら、どこに経営資源を配分すべきかを整理し、優先順位をつけていくことが主な役割です。

ただし、経営企画の価値は「絵を描くこと」にとどまりません。戦略を策定した後、それを各事業部のKPIやアクションプランに落とし込み、進捗をモニタリングし、必要に応じて軌道修正を促すことまで含めて初めて機能します。全体最適を意識しながら、関係者を巻き込み、実行を支えることが重要です。

予算策定、予実管理、会議体運営と社内調整

経営企画には、比較的地味に見えるが重要度の高い業務も多くあります。代表例が、予算策定と予実管理です。年度予算や中期計画を編成し、月次・四半期で実績を追い、差異の要因を分析し、必要に応じて打ち手を再設計することは、経営の健全性を保つうえで欠かせません。

また、経営会議や事業レビューの運営も、経営企画が担うことの多い仕事です。議題設定、資料の取りまとめ、関係部署との調整、会議後のアクション管理まで含めると、単なる事務局機能ではなく、意思決定の場を設計する役割だといえます。こうした業務には、論理性だけでなく、泥臭い調整力や継続的な推進力が必要です。

経営企画に求められるスキルと資質

経営企画は、分析だけでも、調整だけでも成立しない職種です。経営に近い抽象度の高い議論と、現場に根差した具体的な実行の両方を扱うため、複合的な力が求められます。ここでは、特に重要な3つの要素を整理します。

数字と事業を構造で捉える力

経営企画では、財務数値やKPIを読む力は前提になります。ただし、単に数表を扱えるだけでは不十分です。売上、利益率、投資効率、人員構成といった指標を、事業モデルや組織の構造と結びつけて解釈できることが重要です。

数字を見て終わるのではなく、「なぜそうなっているのか」「次に何が起こり得るのか」を考えられる人が、経営企画として高い価値を発揮しやすくなります。

部門横断で物事を前に進める推進力

経営企画は、権限だけで組織を動かせる職種ではありません。実際には、事業部門、管理部門、経営層など、立場の異なる関係者と折衝しながら物事を進める場面が多くなります。

そのため、正しい分析を示すだけでは不十分で、相手の論点や事情を理解しながら合意形成を図る力が求められます。優れた経営企画人材に共通するのは、論点を整理し、周囲を巻き込み、最後までやり切る推進力です。

経営視点と現場理解を往復する力

経営企画において難しいのは、経営の抽象度と現場の具体性の間を行き来する必要があることです。経営陣には全社最適の観点で説明しつつ、現場には具体的な行動や目標に翻訳しなければ、戦略は機能しません。経営視点だけが強いと机上の空論になりやすく、現場理解だけに寄ると全社最適を損ないやすい。この両者を往復できるバランス感覚が、経営企画の適性を大きく左右します。

経営企画の年収と市場価値

経営企画として活躍するイメージ

経営企画は、企業経営に近いポジションであることから、市場でも比較的高く評価されやすい職種です。ただし、年収や評価は一律ではなく、担当範囲や企業フェーズによって大きく変わります。ここでは、年収の考え方と市場価値の構造を整理します。

年収レンジは担当範囲と経営への近さで変わる

経営企画の年収は、一般的なバックオフィス職種より高くなりやすい一方、レンジの振れ幅も大きい職種です。理由は、企業規模や業界だけでなく、担当するテーマによって期待水準が大きく変わるためです。

予算管理や会議体運営が中心のポジションと、全社戦略、M&A、資本政策、事業再編まで担うポジションとでは、求められる視座も難易度も異なります。

特に高年収帯の求人では、単に分析ができるだけでなく、経営陣への提言や横断的な推進、事業責任者との議論ができることが求められます。経営に近い論点に深く関与しているかどうかは、年収水準を左右する大きな要素です。

そういった前提条件による振れ幅はありますが、経営企画職の平均年収の目安についても触れておきます。転職サービスなどのデータによれば、20代後半から30代前半のメンバークラスでは600万円~900万円程度、30代管理職昇進で800万円~1200万円、部長以上のクラスで1200万円以上、という相場観です。

市場価値が高い経営企画人材の共通点 

転職市場で評価されやすい経営企画人材には、いくつかの共通点があります。特に重要なのは、次の3点です。

  • 数値の背景にある事業構造まで説明できる
  • 計画策定だけでなく、実行支援や改善まで担っている
  • 経営陣・事業責任者・現場の間で論点をつなぎ、成果につなげた実績がある

言い換えれば、「戦略立案」「管理」「調整」のいずれか一つに偏るよりも、複数の機能をまたいで成果を出した経験が市場価値につながりやすいといえます。経営企画は、ゼネラリスト的に見える一方で、何をどのレベルで担ってきたかによって評価が大きく分かれる職種です。

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経営企画を目指す人に活きやすい経験

経営企画に至るルートは一つではありません。実際の求人でも、企業は必ずしも「経営企画経験者のみ」を求めているわけではなく、隣接領域での経験を評価するケースが多く見られます。ここでは、経営企画に接続しやすい代表的な経験を整理します。

財務・FP&A・管理部門の経験

経営企画に至るルートは一つではありません。実際の求人でも、企業は必ずしも「経営企画経験者のみ」を求めているわけではなく、隣接領域での経験を評価するケースが多く見られます。代表的な接続ルートは次の通りです。

経験領域活きやすい強み補いやすい論点
財務・FP&A・管理部門数字の把握、予算策定、収益構造の理解事業現場への理解、事業側との折衝経験
事業企画・営業企画・事業推進 KPI設計、施策推進、現場との接続全社視点、資本や財務への理解
経営コンサル・戦略コンサル課題整理、仮説構築、経営論点の解像度実行責任、社内調整、運用の泥臭さ

財務やFP&A、経理企画に近い経験を持つ人は、経営企画との親和性が高い傾向があります。予算策定、予実分析、資金計画、経営数値のレポーティングといった経験は、経営企画の基礎機能と重なるためです。特に、数値の変化を説明する力や、経営に必要な指標を組み立てる力は評価されやすい要素です。

事業企画・営業企画・事業推進の経験代表的なプロジェクト例 

事業企画や営業企画、事業推進の経験者は、現場に近い視点と施策の実行力が強みになります。経営企画が最終的に求められるのは、きれいな戦略資料よりも、現場を動かし成果につなげることです。その意味で、事業部門を巻き込みながらKPI改善や施策推進を担ってきた経験は、大きなアドバンテージになり得ます。

経営コンサル・戦略コンサルの経験 

コンサルティングファーム出身者は、論点整理や仮説構築、経営課題への向き合い方という点で高く評価されやすいバックグラウンドです。一方で、事業会社の経営企画では、自らが運用し、調整し、実行をやり切ることが求められます。戦略立案の経験だけでなく、現場と接続して成果創出に関わった経験をどう語れるかが重要になります。

経営企画の転職事情については、以下の記事でも解説しております。

DTHRのコンサルタント・岡庭に聞く、経営企画人材の市場価値とキャリアの考え方  

経営企画は、企業によって役割の幅が大きく異なるため、求人票の職種名だけでは実態をつかみにくいポジションです。

ここでは、PEファンド投資先企業のメーカー、IT、サービス業のマネジメント層から経営層、さらにベンチャー企業のマネジメント層から経営者採用までを支援している、デロイト トーマツ ヒューマンリソース(DTHR)のコンサルタントである岡庭正人に、経営企画人材の評価ポイントやキャリアの考え方を聞きました。

岡庭 正人
岡庭 正人
岡庭 正人
総合電機メーカーを経て大手ヘッドハンティング会社に参画。現在はPEファンド投資先企業のマネジメント層~経営層の他、ベンチャー企業を中心としたマネジメント層~経営者採用の支援を行う。
社内表彰:最優秀賞1回、優秀賞3回 詳しくはこちら≫

経営企画の求人で起こりやすいミスマッチは何ですか 

――「経営企画」という同じ職種名でも、実際の求人内容はかなり違う印象があります。採用現場では、どのようなミスマッチが起こりやすいのでしょうか。

岡庭 正人
岡庭 正人
最も多いのは、候補者が想定している「経営企画」と、企業が求めている「経営企画」の役割がずれているケースです。

候補者は全社戦略や中期経営計画に関わるイメージを持っていても、企業側は実際には予実管理、会議体運営、重要施策の進捗管理を強く期待していることがあります。逆に、管理寄りのイメージで入社したら、実際にはCEO直下で事業戦略や組織横断プロジェクトをかなりハンズオンで担う、というケースもあります。

そのため、求人票を見る際は職種名だけで判断せず、誰にレポートするのか、何のKPIを持つのか、会議体運営が中心なのか、事業部を巻き込んだ推進まで求められるのか、といった点まで確認することが重要です。

経営企画は、名称以上に「経営との距離」と「実行責任の深さ」で実態が変わる職種だと思います。

企業フェーズによって、経営企画の役割はどう変わりますか 

――企業フェーズによって、経営企画に求められる役割にはどのような違いがありますか。

岡庭 正人
岡庭 正人
かなり変わります。たとえば上場企業では、経営企画に求められる役割が制度や運営の精度に寄りやすく、中期経営計画、予算統制、グループ会社管理、IRとの接続など、継続的に経営基盤を支える機能が重視される傾向があります。

一方で、ベンチャーや成長企業では、まだ役割が固定化されていないことも多く、事業計画の策定、資金調達に向けた数字づくり、重要会議の運営、部門横断プロジェクトの推進まで、一人で広く担うケースも珍しくありません。

また、PEファンド投資先企業では、経営企画に対してより短期的な成果創出が求められることがあります。たとえば、KPI管理の精度向上、収益改善施策のモニタリング、各部門のアクション管理などです。

同じ経営企画でも、環境によって“求められる強み”はかなり違うので、自分がどのフェーズに合うのかを考えることは大切だと思います。

コンサル出身者が、経営企画で活躍するために意識すべきことは何ですか

――経営企画を目指す方の中には、コンサルファーム在籍中の方も多いと思います。入社後に活躍するために、どのような点が重要になるのでしょうか。

岡庭 正人
岡庭 正人
コンサル出身の方は、論点整理や仮説構築、経営層との議論に強みがあります。一方で、事業会社の経営企画では、正しい提案をすること以上に、社内で実行される状態まで持っていくことが求められます。

ですので、現場の制約を理解しながら合意形成を進めることや、自分がオーナーシップを持って回し切ることが、入社後にはより重要になります。

結局のところ、経営企画で活躍する方に共通しているのは、立場の違う相手の言葉を翻訳できることだと思います。経営陣には抽象度高く、現場には具体的に伝え、両者の間で前に進められる方は強いですね。

経営企画のキャリアパス

経営企画は、企業の中枢で経営課題に触れられる職種であるため、その後のキャリアの広がりも大きいのが特徴です。専門性を深める道もあれば、より経営や事業に近いポジションへ役割を広げる道もあります。

経営企画として専門性を深めるキャリア 

一つの方向性は、経営企画としての専門性を深めることです。全社戦略、経営管理、事業ポートフォリオ管理、IR、M&A支援など、企業によっては経営企画の中でさらに専門領域が分かれています。こうしたテーマに深く関わり、経営企画の中核人材として価値を高めていく道があります。

事業責任者・経営管理・CxOへ広がるキャリア 

もう一つは、経営企画を起点に役割を広げていく道です。事業側への理解が深い人は事業責任者や事業企画の上位ポジションへ、管理会計や財務への理解が深い人は経営管理責任者やCFOラインへ進むことがあります。また、全社戦略の立案と実行を横断的に担ってきた人材は、CSOや経営幹部候補として評価されるケースもあります。

自分に合う経営企画ポジションを見極める視点 

経営企画のキャリアを考える際は、職種名よりも「何を担うポジションか」で見極めることが重要です。経営陣に近い立場で意思決定支援を担いたいのか、事業戦略の実行まで深く関わりたいのか、あるいは財務・計数管理に軸足を置きたいのかで、選ぶべき求人は変わります。

まずは自分が伸ばしたい専門性と、経営との距離感を整理することが、納得感のある選択につながります。

経営企画のキャリアパスについては、以下の記事でも解説しております。

まとめ 

ここまで見てきたように、経営企画は企業全体を俯瞰しながら、経営の意思決定と実行をつなぐ重要な職種です。仕事内容は企業によって異なりますが、共通して求められるのは、数値と事業を構造で捉える力、関係者を巻き込んで前進させる力、そして経営視点と現場理解を往復する力だといえます。

また、経営企画は役割の幅が広いからこそ、職種名だけでなく、実際に何を担うポジションなのかを見極める視点が欠かせません。市場価値を高めるうえでも、肩書や担当業務の名称そのものより、経営課題に対してどのような役割を果たしてきたかを蓄積し、言語化していくことが重要です。

同じ経営企画でも、企業フェーズや経営課題によって期待される役割は大きく異なります。自分がどの強みを伸ばしたいのか、どの距離感で経営に関わりたいのかを整理したうえでポジションを見極めることが、納得感のあるキャリア選択につながるでしょう。

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